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活動報告

【イタリア留学通信】工藤栞奈さん

2017.11.15 国際教育

トビタテ!留学JAPAN【スポーツ・芸術】
アカデミアリアチ(イタリア・フィレンツェ)
期間:平成29年9月~12月(3ヶ月)
氏名:工藤栞奈(3年)

2ヶ月がすぎ、残すところあと1ヶ月もありません。授業では油絵を中心に描いています。静物を中心に描きました。静物は苦手意識があり一枚目は形をつかむのにやっとで、色などをよく見れませんでしたが、二枚目三枚目になると簡単に形をつかんで色のほうに注目して描けるようになりました。苦手だった静物も今は得意になったと思うし、描いていても楽しいです。
あまり油絵を描く機会がなかったので好きでしたが、まだ慣れてはいませんでした。イタリアに来て毎日油絵具を使うようになってからは特性や書き方などを理解したので、デッサンをするようにサクサクと油絵具を使って描けるようになりました。

イタリア語の授業では、来月の反省も含めて覚えた言葉を声に出していってみようと思い、先生にイタリア語で質問してみたりどんどん積極的に授業に参加しています。先生もわかって下さり、「英語禁止令」を私だけに出して下さってありがたかったです。
フィレンツェは観光都市なので飲食店などはこちらが外国人だとわかると英語で対応してくれるのですが、あえてイタリア語で全部答えてみたりしました。そうすると向こうも答えてイタリア語で対応してくれるし教えてくれたりするので、もっと積極的
に学んでいこうと思います。

13日、14日は、ローマに一人旅をしてきました!ローマには以前行ったのですが、本当に多くの世界遺産や美術館があり全くみきれなかったので、一泊二日でもう一度ローマに行ってきました。
一日目は朝から電車でフィレンツェからローマに行き、まずヴァチカン美術館に行きました。絵画彫刻だけでなく骨董品やエジプトなどからきたファラオなどの貴重なものも見れました。そして絶対にみたかったシスティーナ礼拝堂に行きました。ミケランジェロの天井画は表現しきれない迫力がありました。「アダムの創造」は、またほかの物とは違う神秘的な魅力があり、これが、構図が絵画の中で重要視される理由なのだと改めて理解しました。そして天井は思ったよりも大きくこれをミケランジェロが
ほとんどすべて描いたのかと思うと信じられないし尊敬します。
その次にサンタマリアデルポポロ教会に行ってきました。カラヴァッジョの「ダマスカスへの途中での回心」「聖ペテロの磔刑」があります。この2作品はカラヴァッジョの作品の中でもより写実的に現実的に描かれているなあと思いました。まるで自分がその場面をみているその場でみているかのような感覚にさせてくれます。

その後イタリアと言ったらすぐ思いつくであろうコロッセオを見に行ってきました。コロッセオは思ったよりも巨大でした。中は今の野球場やドームなどとそっくりのつくりで、はるか昔に考えられた設計が現代にもそのまま使われていることに驚きまし
た。フォロロマーノにも行き古代の暮らしを感じることができました。コロッセオとフォロロマーノの隣にあるカピトリー二美術館に行きました、ここでは「女占い師」を見るはずだったのですが、他の美術館に出展中で観られませんでした。しかし、代わりに
「洗礼者ヨハネ」が飾られていました。好きな作品だったので良かったです。美術館のテラスからはフォロロマーノとコロッセオが見え、閉館時間が近かったので全く人がいなくてゆっくり夕日と遺跡を眺めることが出来ました。観光客が一人もいない
フォロロマーノは幻想的ですごく不思議な気分にさせてくれます。ゆっくり眺めるのにはベストスポットだったと思います。

二日目にはようやく、私の最初に好きになった絵画で今でも一番好きな絵画のカラヴァッジョの「ナルキッソス」に会いにバルベリーニ美術館に行きました。ナルキッソスはたまたま美術の本を読んでいてみつけ、一瞬で惹かれてそこからどんどん調べていくうちに絵画の面白さに気づけたので、人生に大きな影響を与えてくれた作品です。バルベリーニ美術館には普段は三点のカラヴァッジョの作品があるのですが、こちらもほかの美術館に出展中でした…が!「ナルキッソス」だけは美術館に残っており運命だななんて思いました・・・。美術館の一番奥の部屋にあり壁の中心に「ナルキッソス」はいました。感動でちょっと泣きそうになりながらお客さんも少なかったので、正面に置いてあった椅子でしばらく鑑賞しました。お別れするときはほんとに辛くてずっとこの部屋にいたい!と心から思いました。
私も人生のなかでこんな作品をかきたいし誰かの人生を変えられるものを遺せたら最高だなと思いました。

その次にナヴォーナ広場に行き、パンテオン、サンルイージデイフランチェージ教会に行きました。ここにはカラヴァッジョの「聖マタイの召命」「聖マタイと天使」「聖マタイの殉教」の三作品があります。どの作品もすごく大きく迫力がありました。カラヴァッジョの作品で一番といっていいほど有名なのは「聖マタイの召命」だと思います。製作中に描きいれたという窓からの一筋の光がいかに大切な効果があるのかが実物を目にしてよくわかりました。「聖マタイと天使」では暗闇のおおきな使い方とまた独立させないわずかな背景を描く描き方を学べました。授業でもこのカラヴァッジョの技法を実践してみると先生にすごくほめてもらえたので嬉しかったです!
その後ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂へ行きました。イタリアの歴史的な資料や国旗などが展示してあります。屋上テラスに上れてローマの街を一望できました。ヴァチカンからコロッセオまですべてが眺められて最後を締めくくるのにいい場
所でした。いろんな人に頼んで写真を撮ってもらいました、皆さんすごく写真を撮るのがうまくてびっくりしました。(笑)

一週間の秋休みがあったので、フランスパリに行ってきました!パリの街はすごくきれいで上品な感じでした。色で表現すると薄い青色のような感じでイタリアは黄色やオレンジなどの暖かい色が似あうのに比べて、落ち着いていてクールな感じの色合いでした。設計や美術面などはイタリアから来ているので似ているなと思いましたが、フランスならではの色合いが見られて新鮮でした。

まずは朝からヴェルサイユ宮殿のツアーに参加しました。マリーアントワネットやルイ十四世などの歴史でよく習う有名な貴族の話、フランス革命の裏話なども聞けて興味深かったです。イタリアでも宮殿などは見ていましたが部屋ごとのコンセプトの話など隅々まで知らずに見ていたので、今回詳しくじっくりと学べてよかったです。貴族はお金持ちでいいなあと考えていましたが、その威厳を保つためにすべてをうまくこなせるように勉強も楽器も踊りも人の何倍も努力したと教えていただき、それはそれで大変だなあと思いました…。その後オルセー美術館に行きました!超有名絵画が沢山ありすぎて全く時間が足りな
かったです・・・。ゴッホの有名な自画像や数々の作品をみてこんなうまい配色と構図、線の描写はゴッホ以外にはできないと改めて思い知らされました。

マネとルノワールは印象主義作品というくくりで特別展示されていました。明るい画面の中での微妙な明るさの変化、雰囲気などをうまく絶妙なタッチと色で表していて、中世ごろの作品とはまた違う魅力があります。授業でたくさんの白とほかの色を
混ぜて描き上手い筆の跡を残すという印象派の描き方を勉強して実践して、すごく難しいと実感したばかりだったので、マスター達の凄さがさらによくわかりました。
その次に凱旋門に上りました。パリの街を一望できます。パリは町の保存に力をすごく入れているので、パリの街から少し離れたところに現代的なビル街がまとまってあります。日本は新しいビルと古い建物が密接しています、もちろんそれは日本ならではの風景で独特の魅力がありいいと思うのですが。古き良き建物や情景を守る為にパリを見習っていかなければいけないんじゃないか?と思いました。
最後にセーヌ川クルーズをしました。ちょうど夕暮れのいい時間帯で夕焼けとエッフェル塔という最高の景色が見れました!ほかにもたくさんの建物がライトアップされていて、ほんとにこの場所にいるのか疑問になるほど綺麗でした。一周してエッフェ
ル塔についたとき丁度エッフェル塔がキラキラライトアップして、そこにいた観光客がみんな声を合わせてそれぞれの言語で感動していて、誰でもどんな人種でも美しいと思うものは言語なんて無しに気持ちを共有できるんだと思いました。美術の可能性と存在する意味がわずかに見えた気がします。

二日目は半日を割いて、ルーヴル美術館でした。一週間でも足りないと言われるルーヴル美術館なので広いのはわかっていましたが、想像を超えるほど巨大で作品の数も半端ではなかったです。「サモトラケのミケ」が初めに見れました。頭腕などがいまだ行方不明ですが未完成ならではの魅力がありました。そしてルーヴル美術館の絵画といえば一番有名な、レオナルドダヴィンチの「モナリザ」をみました。数々の被害にあっているのですごく遠く展示してありじっくりとは見れませんでしたが、シンプルな肖像画なのになぜか印象にのこる作品でした。レオナルドダヴィンチそしてモナリザといえば、どちらもフィレンツェ人です。フランスでフィレンツェとのつながりを感じられてうれしかったです
絵画館だけでもすごい広さで有名絵画ばかりでふらふら見ているうちに、迷ってしまい道を聞いたり大変でしたが、カラヴァッジョの作品も見れて、一応ミロのヴィーナスやハンムラビ法典などの有名どころを抑えられたので良かったです。
こんどは大人になって再訪して3日くらいかけてじっくり見たいです。

その次にノートルダム大聖堂に行きました。ステンドグラスが大きくてでも繊細できれいでした。
その後、ポンピドゥーセンターに行き近代芸術を見ました。近代芸術はあまり知っている分野ではないのですが、ピカソの絵をはじめ教科書に載っていた有名な彫刻などが沢山見れました。たくさん映像作品も上映されていたので、映画美術の観点からみてすごく興味深かったです。
宗教的に必要とされ信者の拠り所になり、時には威厳を示すためであった絵画から、ルネッサンスなどの数々の革命を経て、平面の枠を飛び出し自己表現をするものへとの過去から現在までの進化を体感できました。

イタリアに帰ってきて、週末にピサの斜塔に行ったりルッカコミックスに行きました。長くなるので来月のレポートにします。
人生の中で一番といっていいほど濃い一か月になりました。トラブルもあったけれどそれもイタリアならではの体験ができてよかったと思います。プレゼンテーションのほうは予定が変更して24日にやることになりました。準備する期間が延びた分よりもっと考えて深い内容にできると思います。今週末には日本文化協会さん主催の「フェスティバルジャッポネーゼ」があります!
私は絵手紙コーナーのスタッフとして参加させていただくのでたのしみです!
悔いの残らないよう一日一日を大切に最後のイタリア生活を送ります!

【コーディネーターより】
色々な土地へ出かけたり、さまざまな芸術作品に触れたりと、感性を研ぎ澄ませて生活を楽しんでいる様子がよく伝わりました♪パリやローマなど、趣があるけれども新しさもあるような、素敵な街ばかりでとてもうらやましいです!芸術だけでなく、語学も一生懸命勉強しているようですね。語学の勉強は単に言葉だけではなくて、その言葉を話す人々や文化など、幅広い知識を得られると思います。現地の人とたくさん話して、少しでも多くのイタリア語を自分のものにしてきてください^^ 国際教育係

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