春季補習その2
春季補習の理科の講座(実験)の様子を紹介します。
特進コース2年生の生物(呼吸の単元)で、そのステップの一つを実験で確認しました。
「呼吸はヒトが空気中から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する過程である」と、理解している人が多いかもしれません。高校生物ではその過程を深く掘り下げて学びます。これが楽しさにつながると思います。高校生物では、「呼吸は有機物からエネルギーを取り出す過程」と理解します。
酸素を使う呼吸は、次の3段階に分かれます。①解糖系 ②クエン酸回路(クレブス回路)③電子伝達系
今回の実験では、2段階目のクエン酸回路の中の一つのステップを実験で観察しました。生物の細胞内では多くの化学反応が起こっています。この化学反応をサクサクと進めてくれるのが、酵素というタンパク質です。
生物材料:モヤシ(モヤシの中のコハク酸脱水素酵素)
実 験:クエン酸回路の一つのステップを確認する。コハク酸からフマル酸になるときに、コハク酸脱水素酵素の 働きで、水素原子(H)が外れます。
コハク酸 ⇒ フマル酸 + 水素原子(H)
さて、この時はずれた水素原子を確認するために、メチレンブルー(青色)という詩薬を使います。メチレンブルーは水素と結合(還元される)すると無色透明になります。このことによって、コハク酸から水素原子(H)が取り除かれたことが確認できます。(※このことを確かめるためには、この実験を空気を除いたガラス管内でおこないます。このガラス管をツンベルク管といいます。)
メチレンブルー(青色) ⇒ メチレンブルー+水素原子(H)(無色透明)
実際の細胞内では、コハク酸から取り除かれた水素原子(H)はFDA(補酵素)という物質が受け取っています。
結果:ツンベルク管内の空気を除いた管・・・メチレンブルーの色は白くなる。
ツンベルク管内の空気を除かない管・・・メチレンブルーは青のまま。
小さな細胞の中で、驚くほどたくさんの化学反応が起こり、しかも、それが正しく、素早く進むことに感動を覚えます。